太陽光発電の1日当たりや1年間の発電量は?発電効率を上げるコツも紹介

太陽光発電の1日当たりや1年間の発電量は?発電効率を上げるコツも紹介 太陽光発電

太陽光発電は持続可能なエネルギーとして注目をされており、最近では住宅の屋根に太陽光発電を設置する人も増えてきました。この記事では、太陽光発電を活用するに当たりどうすれば最大効率で活用できるかを、実際の発電量や設置要件をもとに解説します。

細かい用語の意味や、発電効率を上げるコツを知ることで、太陽光発電のメーカー選びや、設置時の要件整理に役立ちます。太陽光発電を活用し、よりエコで経済的な生活を始めましょう。

太陽光の発電量で用いられる単位

太陽光の発電量で用いられる単位

太陽光発電では、発電をするに当たってさまざまな条件を考慮する必要があるため、いくつかの単位が用いられます。単位を知ることで、太陽光発電を設置した際に、どの程度で元が取れるのかという計算も行えるようになるでしょう。

kW(キロワット) 

kW(キロワット)とは、電力の単位で「どの程度の電力を瞬間的に発電できるか」を表します。太陽光発電の中では設置容量を表す指標として用いられ、kWの値が大きいほど、多くの電力が発電できます。

太陽光発電の設置容量は種類が2つあり、容量の数値を比較して算出します。1つ目は、「ソーラーパネルの容量の合計」、2つ目は「パワコンの容量の合計」です。2つの数値を比較し、数値が少ない方を採用します。

kWh(キロワットアワー) 

kWh(キロワットアワー)はエネルギーの単位で、「一定の電力が1時間続いたときに生じるエネルギー量」を表します。電力(kW)に、時間(h)をかけたものがkWhです

kwは瞬間的な電力の大きさで、ソーラーパネルの最大出力数を表しています。一方でkWhは、1時間で発電できる電力量、もしくは電力を1時間使用したときの量が分かります。

太陽光発電ではどのくらい発電できる?発電量の目安・平均を解説

太陽光発電ではどのくらい発電できる?発電量の目安・平均を解説

太陽光発電を設置した際に得られる、実際の発電量や目安を解説します。発電量の目安や平均値から設置したい太陽光発電量を計算し、設置にかかる金額を算出してみましょう。

1日当たりの発電量の目安・平均 

1日当たりの発電量の目安は、約2.7kWhといわれています。この数値は、太陽光発電協会が提唱している「住宅の屋根における太陽光発電のシステム容量は1kW当たり1000kWh」を、年間日数の365で割った値です。

実際には、さまざまな条件により毎日変動するため、1kw当たり2.5〜3.8kWhほどの振り幅があります。住宅に搭載される太陽光発電の容量は3〜5kWが一般的で、1日の発電容量は約8.2〜13.7kWhが目安となるでしょう。

年間の発電量の目安・平均 

年間の太陽光発電の発電量目安は1kW当たり1000kWhほどですが、実際の平均値は1000〜1200kWhほどといわれており、目安量より大きい値となっています。金額などを計算する際は、目安量を1000kWhとすることで、ロスが起きにくいデータを算出することができます。予測数値は、不利側で計算しましょう。

発電量は日照時間や気候条件により変動するため、数値の特性上、1年間の平均で考えることが望ましく、季節ごとに割り切ることは難しいとされています。

太陽光発電の発電量が決まる要素

太陽光発電の発電量が決まる要素

太陽光発電の発電量はさまざまな条件によって変動するため、正確な発電量を事前に計算することは簡単ではありません。ここでは、太陽光発電の発電量が決まる要因について解説します。発電量の変動要因を理解し、効率的な発電が行える条件を検討しましょう。

メーカー 

太陽光発電の発電容量は、同じ容量のソーラーパネルやパワーコンディショナーを搭載してもメーカーにより異なります。メーカーの選定時は、各容量と損失係数を比較することが大切です。

ソーラーパネルの素材にはいくつか種類があり、それぞれ発電効率が異なります。素材によって金額への影響も大きく、発電容量に違いが生じます。ソーラーパネルにおける損失係数は、素材をもとに計算されています。

パワーコンディショナの仕様も、メーカーによって異なります。電流を変換する際の変換係数をいかに削減するかを徹底しているメーカーもあれば、変換容量を大きくすることに特化したメーカーもあります。

パネルの面積 

太陽光発電はソーラーパネルに太陽光が当たることで電力を生み出しており、ソーラーパネルの面積で太陽光発電の発電容量が決定します。ソーラーパネルの面積が大きいほど発電容量も増えますが、初期費用も高額になります。

ソーラーパネルのパネル面積を大きく設置するには、接地する屋根面に十分な面積が必要です。都心部などの住宅で敷地が狭く縦に長い住宅では、屋根も小さいため、ソーラーパネルを設置する面積が不十分であるかもしれません。そのような場合は、駐車場の屋根にソーラーパネルを設置して面積を増やすという方法もあります。

方角・角度 

ソーラーパネルを屋根に設置する方法は、屋根の形状によって変わります。フラット屋根の場合は架台を使い、屋根の上にソーラーパネルを設置します。寄棟屋根では、屋根の傾斜面に直接パネルを設置する方法が一般的です。設置の際は、ソーラーパネルを設置する方角と角度により発電容量が変わります。

太陽発電がより効率よく行える方角は南面で、一番非効率な面は北面です。フラット屋根の場合は、全てのパネルを南面へ向け、発電効率を高めます。寄棟屋根では、南面から優先的にパネルを配置していきます。

ソーラーパネルの設置角度は、「30度」がより効率的に発電を行える角度といわれています。フラット屋根の場合は、架台の角度を調整して、ソーラーパネルが30度になるように設置しましょう。

地域の日照時間 

太陽光発電の発電容量を左右する大きな要因に、日照時間が関係しています。日照時間とは、太陽の直射日光が地域の地表を照射した時間で、日本の中でも地理条件によって異なります。

地域の四方が山などに囲まれた条件では、山が雲の進行を妨げるため、雲に覆われる確率が下がります。天候が晴れる割合が高くなり、日照時間が長くなる傾向があります。ちなみに、日本の都道府県で日照時間が最も長い都道府県は、山梨県です。

太陽光発電の発電量計算において「晴天日数」という基準もありますが、太陽光発電では、一定基準の日照があれば発電が可能です。晴天時よりも発電効率は落ちますが、曇りや雨でも発電できるので、晴天日数よりも日照時間が重要な指標となります

天候 

太陽光発電の発電量は日射量により大きく左右されるので、天候の影響を直接受けます。曇りや雨は太陽光の透過を妨げることから、ソーラーパネルに十分な太陽光が届かず、晴天時に比べると発電が十分に行えません。また、地域によっては、積雪の影響も考慮する必要があり、発電効率を下げる要因となります。

天候には、地形の影響が大きく関係しています。太陽光発電を設置する際は、事前に地域の降水量や積雪量を確認することが大切です。

また、メーカーによっても雨天や曇り時のソーラーパネルの発電容量が異なります。日照時間が短い地域では、晴天時以外の天気における発電量が、少しでも高いソーラーパネルの設置を検討しましょう。

季節 

日本には四季があるため、年間を通して日照時間や気温に変化があります。太陽光発電の発電量が最も多い季節は、4〜5月にかけての春ごろです。6月は雨が多く、太陽光が十分に得られない日が続くので、発電効率が低下します。

ソーラーパネルは、パネルの表面温度により発電効率が変化し、25度前後で最も効率よく発電が可能です。夏季は、パネルの表面温度が25度を超える時間帯が増えるため、春に比べて発電効率が低下します。

また、冬は太陽の出ている時間自体が短く、他の季節に比べて十分な発電量が確保できません。地域にもよりますが、積雪がある場合は雪がソーラーパネルを覆ってしまい、発電効率が著しく低下します。

太陽光発電の発電量の計算方法

太陽光発電の発電量の計算方法

太陽光発電の1日の発電量の計算は下記の通りです。

1日の発電量(kWh)
システム容量(kw)×日射量(kWh/㎡/日)×損失係数(%)÷日射強度(kW/㎡)

  • システム容量:ソーラーパネルが発電できる電力の量
  • 日射量:ソーラーパネルが受ける太陽光の量
  • 損失係数:太陽光を電力に変換する際に発生する損失
  • 日射強度:瞬間的な太陽光の強さ

損失係数の損失内容は下記の通りで、数値で表すと75〜85%ほどになります。

  • ソーラーパネルのセルの温度上昇による損失
  • パワーコンディショナを通過する際の損失
  • 配線、ソーラーパネルの汚れなどによる損失

年間の発電量を計算する場合は、1年間の日数の365をかけることで算出できます。

年間の予想発電量(kWh/年)=1日の発電量(kWh)×365(日)

太陽光発電の発電量の算出はシミュレーションサイトの活用がおすすめ

太陽光発電の発電量の算出はシミュレーションサイトの活用がおすすめ

太陽光発電の発電量は、シミュレーションサイトで確認できます。サイトにより異なりますが、設置するエリアの気候条件や、設置する屋根の方角なども考慮できるので、具体的な容量の計算が可能です。

自宅の屋根面積や理想の搭載容量から、発電量を計算することもできます。算出した発電量から、自身の生活スタイルに合わせて、どの程度の電力を売買するのかを確認しましょう。使用イメージを具体的に想像できるため、太陽光発電への不安要素を取り払う手助けにもなります。

便利なサイトやツールを活用し、自身が納得して設備を導入することは、高い金額をかけて太陽光発電を導入する上でとても大切です。ぜひ、シミュレーションサイトを活用してみてください。

太陽光発電で発電した電気はどのくらい自家消費する?

太陽光発電で発電した電気はどのくらい自家消費する?

自家消費とは、太陽光発電で発電した電力を家庭で消費することを表し、どの程度家庭で消費したかを表す割合が自家消費率です。自家消費率が高くなれば電力を買う必要がなくなるため、買電価格が低くなります。反対に、自家消費率が低くなれば電力が余り、売電収入が高くなります。

生活スタイルや蓄電池の活用によりどの程度可能かが異なりますが、一般的な自家消費率は約30%です。価格が変動する電気の余計な買電が減るので、自家消費率が高くなることは太陽光発電におけるコストメリットにつながります。

蓄電池を採用している場合、発電した電力を蓄えられるため、自家消費率が高くなります。また、電力を発電する日の出ている時間帯を自宅で過ごす人は、夜間を家で過ごす人に比べて自家消費率が高くなる傾向があります。

太陽光発電ではシステムによるロスが発生する

太陽光発電ではシステムによるロスが発生する

太陽光発電は、複数の機器を介して太陽光を電力へ変換しているため、各機器でさまざまな要因により損失が発生します。ここでは、それぞれのロスについて細かく解説します。

年平均セルの温度上昇によって発生するロス 

セルとは、太陽電池の最小単位を表しており、メーカーによりますが、四方10cmほどの小さいパネルです。ソーラーパネルはセルを複数枚組み合わせて1枚にしたパネルを指します。

ソーラーパネルに使われているセルは、太陽光を受光していますが、熱に対する耐久性はそこまで高くありません。夏季のような高温が続く環境では特に発電能力が低下しますが、冬季においてもセルの温度不足による損失は発生します。一般的に、セル面が25度のときが最大効率で発電可能です。

ソーラーパネルはメーカーにより細かい設計や仕様部材が違い、温度上昇によるロスも異なります。セルの温度上昇による損失は、メーカーは異なるものの同じ容量のパネルを設置した際の、発電量が変わる要因の一つです。

一般的には年平均で15%ほどの損失とされていますが、季節ごとに見ると、夏季は20%、冬季は10%ほどです。

パワーコンディショナによって発生するロス 

パワーコンディショナは、ソーラーパネルで発電した電力を家庭内で使えるように、直流電力から交流電力へ変換を行う装置です。太陽発電では、欠かせない設備機器で、パワーコンディショナを通すことで、コンセントで電気の使用が可能になります。

パワーコンディショナを使って電力を変換する際には、変換損失が発生します。一般的に、パワーコンディショナのロスは5%ほどといわれています。

パワーコンディショナの性能によって変換損失は異なり、損失係数はメーカーによりさまざまです。メーカーのカタログなどで数値を調べられ、「パワーコンディショナの変換効率」と記載されていることがほとんどです。変換効率が95%なら、損失は5%となります。

配線、受光面の汚れなどによって発生するロス 

さまざまな太陽光設備をつなぐ配線においても、ロスが発生します。発電した電力は配線ケーブルにより送電されますが、ケーブルが長いと電気が放熱することで少しずつ損失が起こります。

配線ケーブルが長いほど放熱ルートも長くなるため、パワーコンディショナや蓄電池など、各設備の位置は間取りと合わせて事前に検討する必要があります。

ソーラーパネルと太陽の間に遮蔽(しゃへい)物があり、太陽光を十分に受光できないと発電のロスにつながります。日陰などが分かりやすい例ですが、ソーラーパネルの汚れもロスに影響します。鳥などのふんによる汚れも注意すべき点で、一度付いてしまうと取り除くまで損失が続きます。

定期メンテナンスなどでは、汚れなどがないかも併せて確認すべきです。

太陽光発電の効率を上げて発電量を上げるコツ

太陽光発電の効率を上げて発電量を上げるコツ

太陽光発電の発電効率を上げることで、同じ設置条件下でもより多くの電気を発電できます。ここでは、発電効率に関わる細かい要因を詳しく解説します。内容を確認し、太陽光発電設置時に意識してください。

ソーラーパネルの方角・角度を調整する 

フラットな屋根面なら、より発電効率が良い南面に向けてソーラーパネルを設置することが最適です。ソーラーパネルは建物の矩形(くけい)に合わせて配置することで、屋根面積に対して最大効率で搭載できます。

新築で住宅を建ててソーラーパネルを設置する際は、敷地に対して建物の方位を意識することも、発電効率を上げることにつながるでしょう。

寄棟屋根のように、屋根面が東西南北に異なる場合は、南面を優先的にソーラーパネルを設置する必要があります。反対に北面は発電効率が悪く、コストパフォーマンスを考えると、設置しないという選択も十分にあります。

また、屋根勾配がソーラーパネルの効率的な受光ができる角度の30度とかけ離れている場合は、角度を調整することで、発電効率を向上できます。

ソーラーパネルを影ができないところに設置する 

ソーラーパネルは、太陽光がパネルに当たっている際に発電を行うため、パネルが日陰で覆われると、発電効率が落ちてしまいます。ソーラーパネルはセルと呼ばれる小さなパネルの集合体で、パネル同士は直列でつながっています。1つのセルに日陰が当たり、発電量が落ちると、連動しているソーラーパネル全体の発電量も低下します。

住宅地域は建築基準法により、一定以上の日陰を隣地に作るような建物は建てられないことから、屋根面全てが日陰で覆われるような状況は考えにくいです。しかし、電柱や樹木など、日陰ができる要件はさまざまです。

また、季節によっても、太陽高度の違いによって日陰の大きさに差が出ます。あえて条件が悪い冬の時期に照準を合わせて、ソーラーパネルの設置位置を検討することが重要です。

ソーラーパネルの数を増やす 

ソーラーパネルは1枚ごとの発電量が決まっており、枚数が多いほど太陽光発電の発電量が増加します。メーカーによってソーラーパネルの形状やサイズが違うので、自宅の屋根に載せられる容量も異なります。屋根面積に最大効率でソーラーパネルを搭載できるメーカーを選定することも、発電量の増加につながります。

また、初期費用において、ソーラーパネルの枚数が多くなればパネルの設置費用は高額になりますが、太陽光発電設置工事全体におけるソーラーパネル1枚当たりの単価は安くなります。

定期的にメンテナンスや点検を受ける 

一度設置してから、常時稼働している太陽光発電の発電量効率を保つためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。太陽光発電は、さまざまな機器を接続して稼働するシステムで、設備の内容も専門的です。一つの機器の故障や劣化が全体に影響を及ぼすので、定期的に専門家に状況を確認してもらうことで、発電ロスを防ぐ対策ができます。

また、ソーラーパネルは屋根面に設置されている設備なので、目視での確認が簡単ではありません。飛散物がソーラーパネルに引っかかり、発電量を低下させているという状況もあるので、メンテナンスは定期的に行いましょう。

長期保証サービスを利用する 

太陽光発電のメーカーによっては、長期保証サービスにより、限られた期間で発電量が保証されている場合があります。発電量が保証内容で想定している容量を下回る場合は、接続機器などの不具合も考えられます。発電量を規定値以上へ戻すために、保証内で点検や交換をしてもらいましょう。

サービス内容はメーカーによって異なるので、事前にサービスの有無や内容について確認を行い、保証を付けるかどうかも併せて検討が必要です。

まとめ

まとめ

太陽光発電の発電量は、さまざまな要因により変化します。要件整理は手間がかかりますが、一度設定をしてしまえば数十年は稼働をしてくれるので、効率よく発電を行えば、手間分の価値は十分あると考えられます。

また日々の生活の中でも、意識することで自家消費率を向上させることが可能です。太陽光発電モニターを確認し、日々の発電量と使用量を把握することも省エネにつながります。設置する太陽光発電への関心を持ち、効果的な太陽光発電を実現しましょう。