再生可能エネルギーの電子申請とは?進め方やメリットについて解説

再生可能エネルギーの電子申請とは?進め方やメリットについて解説 太陽光発電

太陽光発電システムを設置し、売電を行うためには、事業計画認定を得る必要があります。従来は郵送での申請にも対応していましたが、2022年4月から再生可能エネルギーについては電子申請が基本となりました。

この記事では、事業計画認定・再生可能エネルギーの電子申請の概要や確認事項、進める方法などについて解説します。太陽光発電システムの設置を検討している人は参考にしてください。

再生可能エネルギーの事業計画認定とは

再生可能エネルギーの事業計画認定とは

再生可能エネルギーの事業計画認定は、国内で再生可能エネルギーを利用した発電事業を行う際に必要な手続きです。

太陽光発電システムを設置したとしても、それだけで発電した電気を電力会社に売電できるわけではありません。国に申請をし、事業計画認定を得ることで売電収入を得られるようになるのです。

太陽光発電の事業計画では、設備の詳細や事業者情報、保守点検や維持、撤去に関する情報など、多くの事業計画に関する情報の提出が求められます​。要件に適合しているかどうかを経済産業省が確認し、認められて初めて売電が可能です。

事業計画認定は、再生可能エネルギー電子申請システムを通して行われます。このシステムを通して、申請者は自らの事業の詳細を登録し、情報を入力しなければなりません。

再生可能エネルギーの電子申請とは

再生可能エネルギーの電子申請とは

再生可能エネルギーの電子申請は、再生可能エネルギーを用いた発電設備の事業計画認定を行うための手続きを、インターネット上で進められるものです。このシステムを利用することで、発電設備の設置や運用に必要なさまざまな申請をオンラインで行うことが可能となります。

具体的には、新規の設備認定申請、変更認定、事前変更届出、事後変更届出、廃止届出などです。

2022年3月までは、50kW未満を除く太陽光発電システムの申請手続きについては、郵送に対応していました。しかし、2022年4月からは再生可能エネルギー電子申請システムで申請が完結できるようになったため、電子化一本に切り替わっています。

パソコンやタブレットから申請を進められるため、申請の手間が少なくなっている点が特徴です。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁

電子申請の前に確認しておくこと

電子申請の前に確認しておくこと

再生可能エネルギーの電子申請時に確認しておくべきことは、下記の4点です。

  • 必要書類
  • 事業計画提出の流れ
  • 電子申請対象の手続き
  • 電子申請の事前準備

それぞれ解説します。

必要書類

再生可能エネルギーの電子申請に必要な書類は、下記の通りです。

【設備が10kW未満の場合】
  • 土地の取得を証明する書類
  • 建物所有者の同意書類
  • 構造図・配線図
  • 電力会社の接続同意書類
  • 委任状や印鑑証明(代行事業者が申請する場合)
【設備が10kW以上の場合】
  • 設置者の戸籍謄本または住民票
  • 申請者の印鑑証明
  • 土地の取得を証明する書類
  • 建物所有者の同意書類
  • 発電設備の内容を証する書類(設備の仕様書など)
  • 構造図・配線図
  • 電力会社の接続同意書類
  • 事業体制を明確にする書類
  • 関係法令手続状況報告書
  • 委任状(代行事業者が申請する場合)

また、共通認証システムGビズIDのアカウント・パスワードと、再生可能エネルギー電子申請システムのログインID・パスワードも必要です。

事業計画提出の流れ

再生可能エネルギーの電子申請の流れは、下記の通りです。

  1. 「再生可能エネルギー電子申請」にログインし、事業計画の情報を入力
  2. 「接続の同意を証する書類」をPDFまたはZIP形式でアップロードし、事業計画の内容を登録
    ※2017年3月31日までに売電を開始していた場合は不要
  3. 手続きが完了すると、メールで通知が届く

事業計画の提出から確認完了までは、1カ月から2カ月ほどかかります。

電子申請対象の手続き

再生可能エネルギーの電子申請の対象となる申請手続きは、下記の通りです。

  • 太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスの「新規認定申請」
  • 太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスの「変更認定申請」
  • 太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスの「変更届出申請」
  • 太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスの「廃止届出申請」

電子申請の事前準備

電子申請を行うためには、再生可能エネルギー電子申請のホームページからユーザー登録をしなければなりません。入力する主な項目は、下記の通りです。

  • 法人・個人の区分
  • 氏名
  • 郵便番号・住所
  • 電話番号・内線番号・ファクス番号
  • メールアドレス
  • 法人名・法人番号
  • 役員情報などその他の情報

また、低圧(50kW未満)・高圧・特別高圧(50kW以上)などの場合は、認定申請の前に説明会開催情報などの仮登録が必要です。

ユーザー登録・仮登録の際には、下記の準備を整えておく必要があります。

  • インターネットに接続可能なパソコン
  • GビズIDのアカウント(プライムまたはメンバー)、およびパスワード
  • 再生可能エネルギー電子申請システムのログインID、パスワード

参考:経済産業省 資源エネルギー庁

再生可能エネルギー電子申請の流れ【新規申請】

再生可能エネルギー電子申請の流れ【新規申請】

新規で申請を行う場合の、再生可能エネルギー電子申請の流れは下記の通りです。

  1. 事業計画策定ガイドラインを確認
  2. 再生可能エネルギー電子申請」にユーザー情報を登録し、ログインIDを取得
  3. 「再生可能エネルギー電子申請」にログインし、操作マニュアルに従って申請情報を入力
  4. 必要な添付書類をPDFまたはZIP形式でアップロードし、申請内容を登録
  5. 届いたメールの内容を確認し、「再生可能エネルギー電子申請」から申請内容を確認の上、「承諾」または「拒否」を選択
  6. 認定されると「再生可能エネルギー電子申請」から認定通知書がダウンロードできる

50kW以上の太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの場合は、電子申請が完了したのち、申請書に返信用封筒を添えて発電設備の立地場所の都道府県を管轄する経済産業局へ送付しましょう。内容に不備がなければ、認定通知書が申請者に届きます。

再生可能エネルギー電子申請の流れ【認定申請など】

再生可能エネルギー電子申請の流れ【認定申請など】

認定申請を行う場合の、再生可能エネルギー電子申請の流れは下記の通りです。

  1. マイページの左にあるメニューから「設備認定申請入力」を選択
  2. 「出力区分」と「設備利用者区分」を選択
  3. 情報を記入し、内容確認を選択
  4. 保存して次に進むを選択
  5. 必要書類をPDFかZIPでアップロードし、申請を選択
    (2017年3月31日までに売電を開始していた場合は「接続の同意を証する書類」のアップロードは不要)
    ※ただし2017年3月に売電開始した場合は、事業計画の提出後に「接続の同意を証する書類」の追加提出が必要な場合がある
  6. 設備設置者のメールアドレスに届いたメールを確認し、申請IDと承諾コードを確認
  7. マイページトップの「認定申請一覧」を選択
  8. 申請IDを入力
  9. 承諾コードを入力し、申請終了

申請後、審査が進められます。認定されるまでは、3カ月ほどを目安としましょう。

再生可能エネルギー電子申請のメリット

再生可能エネルギー電子申請のメリット

再生可能エネルギー電子申請のメリットは、下記の通りです。

  • 24時間申請できる
  • 申請書作成や必要書類の提出が容易
  • 書類不備などがあった場合の再提出が容易
  • 申請履歴が確認できる

それぞれ解説します。

24時間申請できる

再生可能エネルギー電子申請のメリットは、24時間申請できる点です。再生可能エネルギーの電子申請システムは24時間稼働しているため、利用者は任意の時間に申請ができます。

忙しい業務スケジュールの中でも柔軟に申請作業を進められる点は、大きなメリットです。日中に時間が取れない場合でも、夜間や早朝、週末など、いつでも申請ができます。

申請書作成や必要書類の提出が容易

再生可能エネルギーの電子申請システムは、申請書の作成と必要書類の提出を簡単にできる設計です。必要な情報を入力するために分かりやすいページとなっているため、情報をスムーズに入力できるでしょう。

また、必要な書類はデジタルフォーマットで直接アップロードできます。これにより、書類の郵送による遅延や紛失のリスクを回避できるでしょう。

書類不備などがあった場合の再提出が容易

再生可能エネルギーの電子申請システムは、書類に不備があった場合の再提出も難しくありません。従来の郵送による手続きでは、書類の再作成や再送付に時間がかかる点が難点でした。

しかし、電子申請システムでは、修正が必要な内容はオンライン上で編集や再アップロードが可能です。そのため、直接書類を再提出する場合と比較して、時間と手間が大幅に削減されます。

申請履歴が確認できる

再生可能エネルギーの電子申請システムでは、過去の申請履歴を確認ができます。この機能により、申請者は以前の申請情報を簡単に参照し、申請状況のチェックや履歴の確認がオンラインでいつでも行えて便利です​。

申請履歴の確認は、新たな申請にも役立ちます。過去のデータを基にして、より効果的な申請計画を立てられるため、作業を効率的に進められるでしょう。

再生可能エネルギー電子申請時の注意点

再生可能エネルギー電子申請時のデメリット・注意点

再生可能エネルギー電子申請の注意点は、下記の通りです。

  • クリアすべき基準が多い
  • 認定まで時間がかかる
  • 認定前に電力会社との接続契約が必要

それぞれ解説します。

クリアすべき基準が多い

再生可能エネルギー電子申請時の注意点は、クリアすべき基準が多い点です。太陽光発電の事業計画にはさまざまな審査項目が設けられています。

審査項目の例は、以下の通りです。

  • 固定買取期間中、太陽光発電の保証サービスを受けたり、メンテナンスサポートを利用したりしている
  • 法令に沿った売電メーターを設置し、適切に計測できる環境である
  • 太陽光パネルやパワーコンディショナー、架台、接続部品、配線類などのメーカーや型番を特定できている
  • 固定買取期間中の発電計画について明確に定めている
  • 太陽光発電設備を正常に稼働させるため、定期的なメンテナンスや維持管理に関する取り組みを行っている

あらかじめ基準を確認し、全てを満たせるように準備を整えておきましょう。

認定まで時間がかかる

再生可能エネルギー電子申請時の注意点は、認定まで時間がかかる点です。申請から認定までは約3カ月かかりますが、手続きや審査が複雑なので、長引く可能性も十分にあります。

また、FIT(固定価格買取制度)の売電単価は毎年徐々に減少しています。そのため、少しでも得ができるうちに手続きをしようと年度末に申請が集中しがちです。その影響もあり、年度末は特に時間がかかる点には注意しましょう。売電を始めたい方は、早めに申請する必要があります。

太陽光発電システムは、認定取得から3年以内に運転を開始させなければなりません。3年以内の稼働開始も意識して、スケジュールを組んでください。

認定前に電力会社との接続契約が必要

認定前に電力会社との接続契約が必要である点も、再生可能エネルギー電子申請時に注意すべき事柄です。電力会社へ売電するためには、電力会社からあらかじめ接続契約の同意を得ておく必要があります。

FIT法が改正される前は、認定申請時点で接続契約が完了していなくても問題ありませんでした。しかし現在は、事前に手続きを完了させておかなければなりません。そのため、接続契約についても早めに進めておきましょう。

まとめ

まとめ

太陽光発電システムを設置し、稼働させるためにはあらかじめ電子申請が必要です。概要や流れをしっかりと把握しておき、不備なく申請を進められるよう準備を整えておいてください。

もし分からない点がある場合や、申請を代行してもらいたい場合は、太陽光発電システムを設置する業者に相談することをおすすめします。太陽光発電システムに関するプロなので、申請にも問題なく対応してもらえるでしょう。