住宅用太陽光発電は一般的な家電製品とは異なり、工事を伴うため現地調査が欠かせません。屋根形状や面積、傾斜などの設置環境は住宅一軒ごとに違うため、設置工事はオーダーメイドです。設置環境に応じた最適な製品選びとともに、施工に関する品質の確保も重要になってきます。
また、太陽光発電の寿命は20〜30年※といわれていますが、その期間中、アフターサービスが提供されるかどうかも重要です。同じメーカーのシステムでも、設置業者によって価格や保証などのサービス内容が異なることがあります。それだけに信頼できるメーカーおよび販売施工業者選びが欠かせないわけです。
※出典:一般社団法人太陽光発電協会HP
そこで太陽光パネルメーカー・設置業者をどう選べばいいのか、ランキング形式でご紹介します。住宅用太陽光発電の設置を検討している方は、是非この記事を参考にしてください。
太陽光発電の業者は大きく2種類に分けられる
太陽光発電の商流は、太陽光パネルなどを製造するメーカーとその販売代理店である設置業者の2つに分けられます。
メーカーは直接販売するのではなく、販売代理店を通じて一般消費者に製品を提供しています。一方、設置業者はメーカーごとの製品知識や施工技術を習得するため、メーカーが主催する研修を受け、知識向上や施工品質の確保に努めています。
メーカー
現在、太陽光パネルなど住宅用太陽光発電システムを開発・製造しているメーカーは、国内外合わせて20社以上あります。
代表的な国内メーカーにはシャープ、京セラ、パナソニックなどの家電メーカーをはじめ、石油元売り大手の出光興産の子会社であるソーラーフロンティア、化学メーカーのカネカなどがあります。また山口県に本社を置く長州産業や、2023年より東芝の住宅用太陽光発電事業を継承したエクソルなどもあります。
一方、中国や韓国などの海外メーカーも日本で事業を展開しています。代表的なメーカーはQセルズ(韓)、カナディアン・ソーラー・ジャパン(カナダ)、マキシオン・ソーラー・テクノロジーズ(米)、ロンジ・ソーラー・テクノロジーズ(中)などです。
販売施工業者(設置業者)
設置業者とは、住宅屋根の形状や面積、斜面などの現地調査をはじめ、製品・システム提案、経済産業省や電力会社への代理申請、施工、アフターサービスまでを担う企業です。
設置業者は、各メーカーが主催する研修などを受けることで製品知識の向上や施工品質の確保に努めています。またメーカーも認定IDを取得した施工業者しか設置工事ができない施工ID制度を導入することで、品質の高い施工体制づくりを目指しています。
現在、設置業者は全国に2,300社以上※いるとされていますが、設置目的や要望、条件をしっかりと踏まえた上で、現地調査などを実施してくれる業者選びが重要になっています。
※出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「ZEHビルダー/ZEHプランナー一覧」
メーカーと販売施工業者(設置業者)の違いとは
メーカーとは上記の通り、太陽光パネルなどの住宅用太陽光発電システムの開発・製造企業です。メーカーは一般消費者には直接販売せず、販売代理店である設置業者を通じて、製品を提供しています。
一方、設置業者とは、現地調査をもとに、それぞれの住宅に合ったシステムの提案、発電量のシミュレーションおよび経済的なメリットの説明、施工、アフターサービスまでを担う企業を指します。
【最新】太陽光パネル企業ランキングTOP11
太陽光パネルを製造しているメーカーは国内外合わせて20社以上ありますが、日本での人気順位などを加味し、本サイト独自の調査をしてランキング化しました。ランキングは「変換効率」「価格」「耐用年数」「メンテナンス費用」「口コミ」の5項目をもとに算出しています。
「変換効率」とは太陽光パネルに照射された太陽光エネルギーのうち、何%を電力に変換できるかを表した値です。変換効率が高いほど発電量が多く、一般的には20%を超えると高性能とされています。
【1位】Qセルズ(ハンファジャパン)
出典:Qセルズ
Qセルズはドイツで設立された太陽光パネルメーカーです。2012年に化学品製造や保険、太陽光発電事業を手がける韓国のハンファグループの子会社になりました。
60カ国以上で事業を展開しており、日本では2012年から住宅用太陽光発電システムの販売を開始。日本特有の気候条件に対応した製品の開発や発電性能、耐久性、長期保証などが市場で評価され、2022年には累計設置12万棟を達成しています。
Qセルズの太陽光パネルは低照度に強く、さらに配線の無駄をなくしたことから同じ面積でも高出力・高効率で、最新モデルの最大変換効率は22.3%です。また強風、大雪、高温、乾燥、湿度などの悪環境下でも耐久性に優れ、高いパフォーマンスを実現しています。
日本国内には450カ所のサービスサポート拠点があり、サポート体制も充実しています。
メーカー | Qセルズ(ハンファジャパン) |
設立日 | 1984年 |
国籍 | 韓国 |
変換効率 | 22.3% |
出力保証 | 25年 |
公式サイト | https://www.q-cells.jp/ |
【2位】長州産業
出典:長州産業
多くのメーカーが生産拠点を海外に移す中、国内生産にこだわるメーカーが長州産業です。
長州産業は長年、給湯器など住宅設備を手がけてきた事業経歴を活かし、日本の気候や家の特性に応じた製品開発に定評があります。
太陽光パネルは約30年にわたり使用する機器であることから、日本の厳しい気候に耐えうるパネル生産を目指し、高温多湿や耐荷重などに関して独自の厳しい基準を設けた試験を実施。耐久性の向上にも努めています。
変換効率は20%を超えており、25年の出力保証を提供。また長州産業が認定する施工認定店を利用し、指定の架台を用いると雨漏り保証が無償で提供されます。
新築住宅に設置する場合は、初期費用が無料となる「ソラトモサービス」なども利用可能です。
メーカー | 長州産業 |
設立日 | 1980年 |
国籍 | 日本 |
変換効率 | 20.4% |
出力保証 | 25年 |
公式サイト | https://cic-solar.jp/ |
【3位】カナディアンソーラー・ジャパン
カナディアン・ソーラー・ジャパンは、2001年にカナダで設立されたカナディアン・ソーラーの日本法人です。
2009年から日本において住宅用太陽光発電システムの販売を開始しており、2022年には住宅設置累計14万棟を達成しました。
太陽光パネルは厳格な国際基準のもと、日本の気候に応じた高水準なパネルを製造し、変換効率は20%を超えています。太陽光パネルの出力保証、製品保証はともに25年。出力保証や製品保証の対象外である火災や落雷、台風、水災、飛来物などによる損害事故に対しては、損害額を補償する災害補償制度(有償)を提供しています。
また施工からアフターメンテナンスまで、より迅速かつ万全に提供するため、サービス拠点を拡大し、施工体制の向上も図っています。
メーカー | カナディアン・ソーラー・ジャパン |
設立日 | 2009年 |
国籍 | カナダ |
変換効率 | 21.0% |
出力保証 | 25年 |
公式サイト | https://csisolar.co.jp/ |
【4位】シャープ
出典:シャープ
1994年から住宅用太陽光発電システムを商品化し、約90万軒(2023年3月末時点)の実績を持つのがシャープです。
シャープのパネルは「BLACKSOLAR」モデルと呼ばれ、日本の住宅屋根に調和する黒を基調としたデザインが特徴です。またサイズや形状が異なる4種類のパネルを組み合わせる「ルーフフィット設計」で、さまざまな屋根形状に合わせて、より多くのパネルを屋根に搭載することができます。
約50年の開発経験をもとに、梅雨や夏の高温多湿、台風、積雪など過酷な気象条件に耐えうるよう、JIS規格などよりも厳しい独自基準を設けた品質試験を実施することで、長期耐久性の確保を目指しています。
モジュール保証20年、システム機器保証15年など、「BLACKSOLAR」シリーズ限定の長期プレミアム保証(無償)も提供。
また、発電異常などが発生した場合に速やかに通知する、クラウドを利用した見守りサービス「COCORO ENERGY」も利用可能です。
メーカー | シャープ |
設立日 | 1935年 |
国籍 | 日本 |
変換効率 | 20.2% |
出力保証 | 20年 |
公式サイト | https://jp.sharp/sunvista/ |
【5位】パナソニック
出典:パナソニック
1975年に太陽光発電の研究開発を始め、40年以上の歴史を持つのがパナソニックです。
パナソニックは太陽電池モジュール「HIT(ヒット)」を独自開発し、すでに20年以上の販売実績を誇っています。「HIT」の特徴は、太陽の光が弱い曇りの日や、高温になる真夏でも出力が低下することなく発電できる点です。曲げにも強く耐久性にも優れています。
国際規格の試験に加え、超大型の台風や地震を想定した厳しい独自試験を行うことで、出力保証25年(無償)を提供。また周辺機器にも機器瑕疵保証15年(無償)を付けています。
さらにパナソニックが認定した全国約4000店の「PV施工登録店」が、屋根の形や材質に合わせた施工を施すことで、施工品質の向上にも努めています。
2023年6月からは変換効率21.0%の高出力モデル、「MODULUS(モデュラス)」を販売中です。
メーカー | パナソニック |
設立日 | 1918年 |
国籍 | 日本 |
変換効率 | 21.0% |
出力保証 | 25年 |
公式サイト | https://sumai.panasonic.jp/solar_battery/ |
【6位】ソーラーフロンティア
出典:ソーラーフロンティア
ソーラーフロンティアは石油元売り大手の出光興産の子会社で、40年以上かけ太陽光パネルの研究に取り組んできました。
2022年6月末に自社生産を終了し、OEM(委託者ブランドによる製品製造)調達に切り替えていますが、公称最大出力405Wなどの製品をラインナップしています。またセキスイハイムやトヨタホーム、住友林業などの大手ハウスメーカーによる採用実績もあります。
ソーラーフロンティア製太陽光パネルには出力20年保証(無償)が付いており、システム機器については無償の10年保証か有償の15年保証を選択可能です。
この他、20年以上にわたる長期利用に向け、住宅用太陽光発電システム点検サービスも実施しています。参考作業料金はパワーコンディショナの容量が5.5kW以下の場合3万円から、となっています。
メーカー | ソーラーフロンティア |
設立日 | 2006年 |
国籍 | 日本 |
変換効率 | ― |
出力保証 | 20年 |
公式サイト | https://www.solar-frontier.com/jpn/ |
【7位】ネクストエナジー・アンド・リソース
ネクストエナジー・アンド・リソースは、太陽光発電関連の製品開発から販売、施工、メンテナンスなどを手掛ける企業です。
狭小屋根が多い日本の住宅環境でも最大限発電できるよう、出力向上に取り組んでいます。2024年4月から販売する太陽光パネルは、変換効率が22.2%に向上。低照度特性に優れていることから、真夏や曇りの日の発電量が多くなる上、経年劣化率が低いという特徴を持っており、より多くの発電量が期待できます。
耐久性にも優れていることから、出力保証は従来の25年から30年に延長。また売電収入の経済的損失を最大6カ月間補償する経済損失補償も提供しています。
メーカー | ネクストエナジー・アンド・リソース |
設立日 | 2003年 |
国籍 | 日本 |
変換効率 | 22.2% |
出力保証 | 25年または30年 |
公式サイト | https://pd.nextenergy.jp/ |
【8位】マキシオンジャパン
出典:マキシオンジャパン
マキシオンジャパンは、アメリカの大手太陽光パネルメーカー、マキシオン・ソーラー・テクノロジーズの日本法人です。マキシオン社は35年以上の歴史を持ち、世界100カ国以上で太陽光パネルを販売しています。
マキシオン製品の特徴は、変換効率22.6%という業界トップクラスの変換効率と40年の長期出力保証、そして経済性の高さです。
独自技術により、太陽の光を最大限吸収できるよう変換効率の向上を実現しています。また一般的な出力保証は期間が10〜25年であるのに対して、同社では出力保証40年、製品保証も40年。システム機器の保証は通常10〜15年のところ、20年保証となっています。
マキシオンジャパンでは、長期間安定した発電を維持できることから、より多くの経済メリットが得られます。
メーカー | マキシオンジャパン |
設立日 | 2021年 |
国籍 | アメリカ |
変換効率 | 22.6% |
出力保証 | 40年 |
公式サイト | https://maxeon.com/jp/ |
【9位】京セラ
出典:京セラ
1975年に太陽電池の研究・開発をスタートさせ、1993年に国内で初めて住宅用太陽光発電システムを発売したのが京セラです。
京セラの特徴の1つが、長期にわたり発電量が低下しにくい「長期信頼性」です。
1984年に設置された太陽光パネルは、36年経った2021年時点でも出力低下率が17.2%で、現在(2022年3月時点)も稼働中です。品質や信頼性の高さは、世界の第三者機関からも評価されています。
もう1つの特徴が「トリプル保証(有償)」です。システム機器保証を15年、落雷などの自然災害で破損しても保証する自然災害保証を15年、さらに20年間の出力保証を付けたトリプル保証を提供することで、購入者が安心して設置できるようサポート体制を整えています。
また屋根面積が限られる都心部の住宅にも設置できるよう、製品ラインナップを拡充している点も特徴の1つです。
メーカー | 京セラ |
設立日 | 1959年 |
国籍 | 日本 |
変換効率 | 21.0% |
出力保証 | 20年 |
公式サイト | https://www.kyocera.co.jp/solar/ |
【10位】ロンジ・ソーラー・テクノロジーズ
ロンジ・ソーラー・テクノロジーズは、3年連続で太陽光パネルの出荷量世界一位を達成した中国のロンジグループの日本法人です。
ロンジグループは、高出力・高効率パネルの開発・製造に定評があり、2023年12月には太陽電池セルにおいて変換効率27.09%の世界新記録を達成しました。
日本法人は2016年に設立され、高出力・高効率製品を中心に展開しています。その製品特徴は、真夏などの高温時や曇りの日でも発電する出力特性と経年劣化率の低さにあります。ロンジグループでは変換効率と出力の向上によって、長期にわたって多くの発電量が期待できるとしています。
また品質や耐久性に関しても世界の第三者機関から評価されており、25年または30年の出力保証を提供しています。
メーカー | ロンジ・ソーラー・テクノロジーズ |
設立日 | 2016年 |
国籍 | 中国 |
変換効率 | 22.6% |
出力保証 | 25年または30年 |
公式サイト | https://www.longi.com/jp/ |
【11位】フジプレアム
出典:フジプレアム
フジプレアムでは、液晶テレビなどの大画面に素材の異なるフィルムを貼り合わせる精密貼合技術を応用して、超軽量太陽光パネルなどを開発しています。
その重さは従来製品と比較して約36%軽くなっており、地震に強い特性を持っています。さらに軽量化したことで、折板屋根など一般的に余力荷重が低いとされる屋根への設置が可能となる他、屋根の上での施工作業が軽減できます。
出力保証は15年、システム保証は10年。この他、台風や落雷、豪雨、飛来物、火災被害を補償する自然災害補償(有償)は10年です。
メーカー | フジプレアム |
設立日 | 1982年 |
国籍 | 日本 |
変換効率 | 15.75% |
出力保証 | 15年 |
公式サイト | https://www.fujipre-sales.co.jp/ |
太陽光発電パネルのメーカーの選び方|ポイントは3つ
太陽光パネルメーカーを選ぶ際のポイントには、「発電効率はどうか」「価格が適切か」「メンテナンス費用はどれくらいかかるか」の3つがあります。これら3つのポイントから総合的に判断しましょう。それぞれのポイントについて解説していきます。
発電効率はどうか
太陽光パネルメーカーを選ぶポイントの1つ目は「発電効率」です。
太陽の光を受けて発電する太陽光発電は、日射量によって発電効率が変わります。お住まいの地域の日射量をもとに、どのくらいの発電効率が期待できるのか、電気代はどれくらい削減できるのかは、太陽光パネルメーカーのホームページに掲載されている発電効率(発電量)シミュレーション診断を利用すれば、簡単に試算できます。
また日射量に関しても、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が提供する日射量データベース※を使えば、簡単に調べることができます。
ただし発電効率は設置方向や設置角度によって変わります。また周りにある建築物や樹木などの影、積雪の影響などによって、発電効率が減少する可能性もあるため注意が必要です。
※出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)HP
価格が適切か
発電量が多ければ多いほど、初期費用も上がります。
期待される発電量を得るためにかかる初期費用が適切か比較検討する上で、1つの目安になるのが1kWあたりの価格を表したkW単価です。
kW単価が安いと導入費用を抑えられますが、比例して発電量も低くなる傾向にあります。そのため、できるだけkW単価が安く、発電量が高いパネルが理想です。
発電量やkW単価に加えて、もう1つ注意したいのがパネル形状です。
例えば、自宅の屋根形状が4方向に傾斜する寄棟だった場合、三角形や台形の太陽光パネルを置くと、発電量が多くなるだけでなく、見た目もきれいに仕上がります。
価格が適切か判断する上で、もう1つの指標となるのが「耐久性」です。
現存する太陽光発電で日本最古とされているのが、奈良県の壺阪寺(つぼさかでら)※です。1983年に設置され、2024年現在で41年間、発電を続けています。太陽光パネルの寿命は一般的に20〜30年といわれていますが、最適な製品を選ぶとともに、適切に管理をすれば製品寿命が伸び、発電量の低下もわずかとなります。
※出典:シャープHP
しかし、積雪や雨風などの気象条件によってパネル寿命は変動します。地域によっては塩害などを受けるとパネル寿命を縮めてしまい、その結果、発電量が低下する可能性があります。
積雪や塩害が懸念される地域にお住まいの方は、積雪・塩害対策を施した太陽光パネルを選ぶ必要があります。
一方、どのパネルメーカーも購入者が安心して購入できるよう「出力保証」を提供しています。
出力保証とは一定の期間、太陽光パネルの出力が規定する数値を下回った場合、メーカーが修理や交換をしてくれるものです。無償の保証期間は10〜20年が標準とされ、なかには25年、30年保証をつけているメーカーもあります。
ただし、保証適用には不具合の原因にもとづく適用可否や諸条件があり、メーカーによって、保証内容、費用の有無、条件なども異なるため注意が必要です。
メンテナンス費用はどれくらいかかるか
メンテナンス費用もパネルメーカーを選ぶ上で欠かせないポイントです。
太陽光発電システムは、太陽光パネルの他、パワーコンディショナなどの機器で構成されています。
パワーコンディショナとは、太陽光パネルが発電した直流電力を家庭内で使えるよう交流電力に変換する機器です。パワーコンディショナは太陽光パネルと比べて故障が多い傾向があり、使用期間は10〜15年程度※とされています。
※出典:一般社団法人太陽光発電協会HP
メンテナンス費用の一例として、太陽光パネルよりも故障頻度が高いパワーコンディショナで見てみましょう。
3〜4kWの太陽光発電システムを設置後、12年が経過した時点でシャープ製のパワーコンディショナの基盤を交換したとします。
さらに保証期間中であれば、何回でも対応可能だとしており、メンテナンス費用を安く抑えることができます。
出典:シャープHPをもとに作成
安全に発電し、性能低下を防ぐには3〜5年に1回、定期点検をすることが推奨されています。
経済産業省によると1回あたりの定期点検代は約4.7万円、20年間にわたってパワーコンディショナを使用するには、交換費用として34.5万円がかかると試算されています。
つまり、5kWのシステムを20年間使用するために必要となるメンテナンス費用は以下の通りです。
定期点検代4.7万円×5回+パワーコンディショナ交換費用34.5万円÷5kW÷20年間 = 5,800円/kW/年※
1kWあたり年間5,800円のメンテナンス費用がかかる試算です。
※出典:経済産業省資源エネルギー庁「調達価格等算定委員会事務局資料」
【最新】太陽光発電・蓄電池設置業者10選
全国に約2300社以上存在する太陽光発電・蓄電池の設置業者の中から、信頼できる業者を選ぶことは簡単ではありません。そもそもどう選べばいいのか、分からない人も多いはずです。
そこで、施工実績や対応エリア、アフターサービスなどから、おすすめの設置業者10選を紹介します。ぜひ参考にしてください。
株式会社日本エコシステム
出典:株式会社日本エコシステム
太陽光発電設備の販売・施工数4.5万棟以上という実績を持つのが株式会社日本エコシステムです。
日本エコシステムは住宅用太陽光発電がまだ黎明期であった1997年から事業を開始しており、すでに25年の歴史があります。
同社では独自の見積もりシステムと発電シミュレーションにより、最適なシステムを提案。また、電気工事などもワンストップで対応することで、工事費用を抑えています。さらに太陽光パネルの販売施工業者のパイオニアとして、高品質な施工体制を整えています。
対応エリアは全国(沖縄・離島などは除く)で、10カ所以上の支店を持ち、迅速なアフターサービス体制の構築も万全です。2015年には情報通信インフラ設備を整備する日本コムシスの子会社となることで、財務基盤の強化も図っています。
企業名 | 株式会社日本エコシステム |
本社 | 千葉県浦安市北栄4-8-3 コムシス浦安ビル4F |
取り扱いメーカー | パナソニック、シャープ、カナディアン・ソーラー、長州産業、京セラ、ソーラーフロンティア、サンテックパワー、Qセルズ、インリー・グリーン・エナジー |
対応エリア | 全国(沖縄・離島などは除く) |
公式サイト | https://www.j-ecosystem.co.jp/ |
スマートソーラー株式会社
出典:スマートソーラー株式会社
住宅用太陽光発電の施工実績27MWと謳うのがスマートソーラー株式会社です。
2007年に設立された同社は、太陽電池の原材料であるポリシリコンのメーカーとスマートソーラーして出発し、その後、太陽光発電の販売・施工など事業を多角化してきました。
住宅用太陽光発電に関しては、FIT(固定価格買取制度)による売電に頼らず、発電した電気を無駄なく使う自家消費ができるよう、蓄電池付き太陽光発電の普及拡大に取り組んでいます。夜間や雨の日でも1日中、電気を快適に使えるよう「ソーラー蓄電システム」を提供しています。
企業名 | スマートソーラー株式会社 |
本社 | 東京都中央区日本橋兜町13番2号 兜町偕成ビル本館8階 |
取り扱いメーカー | ー |
対応エリア | 全国 |
公式サイト | https://www.smartsolar.co.jp/ |
株式会社アルファコーポレーション
株式会社アルファコーポレーションは、2005年に総合リフォーム会社として水回りの設備販売・施工からスタートしました。東日本大震災を契機に太陽光発電事業を始め、業界でもトップクラスの販売実績を誇ります。
設計・契約・工事・完工検査・アフターサービスをワンストップで提供できる体制が、高い評価を得ており、メンテナンス部門を確立している企業が多くない中、30名を超えるスタッフが毎年1.5万世帯のメンテナンスを実施しています。
住宅用太陽光発電の販売件数の増加や、自社で運営する大規模太陽光発電所の建設などにより、14期連続で増収増益を記録するなど、財務基盤も安定しています。
企業名 | 株式会社アルファコーポレーション |
本社 | 神奈川県横浜市中区相生町3-63 ヤオマサビル5階 |
取り扱いメーカー | 京セラ、Qセルズ、カナディアン・ソーラー、ネクストエナジー・アンド・リソース、マキシオンジャパンほか |
対応エリア | 北海道、長野県、千葉県、神奈川県、愛知県、福岡県 |
公式サイト | https://www.eco-alpha.co.jp/ |
ELJソーラーコーポレーション株式会社
住宅用太陽光+蓄電システムの販売件数全国1位の実績を持つのが、ELJソーラーコーポレーション株式会社です。2000年の設立以来、事業を拡大し、現在は愛知を中心に仙台から鹿児島まで13の支社を設置しています。
ユーザー一人ひとりに合った発電量予測に始まり、現場調査から工事完了までの工程管理、アフターサービスまで一元対応するのが同社の特徴です。
さらに保証制度も充実しています。長期間にわたって太陽光発電を利用できるよう、設置後1年目、9年目に無償点検を実施。万が一雨漏りが発生した場合は、最大1億円を補償する10年間の工事施工補償を提供するなど、設置後のサポート体制も万全です。この他、電力会社への申請なども無料でサポートしています。
設置対象エリアが35都府県と広いのも特徴です。
企業名 | ELJソーラーコーポレーション株式会社 |
本社 | 愛知県名古屋市名東区姫若町3-2 KTCビル5階 |
取り扱いメーカー | 長州産業、パナソニック、シャープ、カナディアン・ソーラー、ネクストエナジー・アンド・リソース、京セラ、Qセルズ |
対応エリア | 宮城県から宮崎県までの35都府県 |
公式サイト | https://www.elj-solar.co.jp/ |
株式会社PGSホーム
出典:株式会社PGSホーム
株式会社PGSホームは、戸建て住宅の外壁塗装を祖業とし、2002年に太陽光発電事業をスタートさせました。外壁塗装や太陽光発電、蓄電池の施工実績は5.5万戸(2023年5月時点)を超えています。
太陽光発電に関しては、東芝※の販売代理店として活動した経歴を持ち、2018年と2019年には東芝住宅用太陽光発電システム販売コンテストで2年連続全国第1位の実績を上げています。
※東芝は2023年3月、住宅向け太陽光発電システム事業をエクソルに譲渡
第三者評価機関から「経営者能力」「企業成長性」「企業安定性」などを評価されており、創業以来、黒字経営を継続するなど財務基盤も安定。2024年1月時点での拠点数は20ですが、今後も拡大を目指しています。
企業名 | 株式会社PGSホーム |
本社 | 大阪市東成区東今里2-1-8 PGSビル |
取り扱いメーカー | Qセルズ、パナソニック、シャープ、ソーラーフロンティア、京セラ |
対応エリア | 関東から九州まで |
公式サイト | https://www.pgs-home.jp/ |
京セラ株式会社
出典:京セラ株式会社
1993年、日本で初めて住宅用太陽光発電システムを発売したのが京セラ株式会社です。
京セラでは事業の拡大に合わせて、フランチャイズ方式による独自の販売店組織「京セラソーラーFC」を設立。太陽光発電システムの販売から施工、アフターサービスまで品質の高いサービスを提供できるよう、販売代理店に対して研修を実施してきました。
「京セラソーラーFC」に加盟する企業は、製品知識や施工品質の向上に取り組んでおり、現在の加盟数は56社。北海道から沖縄まで全国展開しています。
また京セラでは、システム機器保証15年、自然災害保証15年、さらに20年間の出力保証を付けた「トリプル保証」を提供することで、購入者が安心して導入できるようサポート体制も整えています。
企業名 | 京セラ株式会社 |
本社 | 京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地 |
取り扱いメーカー | 自社製品 |
対応エリア | 全国 |
公式サイト | https://www.kyocera.co.jp/solar/ |
ブルーコンシャス株式会社
出典:ブルーコンシャス株式会社
2012年に太陽光発電のメンテナンスサービスをスタートさせ、その後、オリジナルブランドである「ブルーブ・ソーラー」の開発・販売を開始したのがブルーコンシャス株式会社です。
自社ODM(製品設計から製品開発まで他社に委託し製造)による太陽光パネルの販売は2015年からスタートさせており、独自保証制度なども提供しています。2017年には自社ODMを蓄電池にも広げ、最長22年の製品保証とともに販売中です。
ブルーコンシャスの特徴は、日本の過酷な気候に対応した太陽光パネルと、販売から設置・施工、そしてメンテナンスまで一貫して対応するサービス体制です。
営業拠点は大阪本社を中心に、東京、九州に支社があり、さらに北海道、北関東、広島、徳島、沖縄に支店を置いています。
企業名 | ブルーコンシャス株式会社 |
本社 | 大阪府⼤阪市北区中之島2丁⽬3番33号 ⼤阪三井物産ビル13F |
取り扱いメーカー | 自社ODM製品 |
対応エリア | 北海道から沖縄まで |
公式サイト | https://blue-c.jp/ |
新日本住設株式会社
出典:新日本住設株式会社
太陽光発電や蓄電池、エコキュートなどを備えたスマートハウス事業を中心に展開するのが新日本住設株式会社です。
スマートハウス事業では2.3万件を超える実績があり、住宅用太陽光発電システムと蓄電池の販売に関しても、パナソニックやシャープから全国1位の販売店として評価されています。
同社の特徴の1つが4つの独自補償制度です。
「住宅用発電シミュレーション補償」では、年間発電シミュレーション値と実際の発電量との差が3000円を超えて下回った場合、上限5万円まで補償。また太陽光発電と蓄電システムに不具合が生じた場合、18年間補償する「システム機器18年瑕疵保証」もあります。
この他、設置工事の不備によって損害が発生した場合に補償する「第三者バックアップ補償付き工事保証」や「オール電化10年延長保証」があります。
ただし、保証対象メーカーなどには要件が付されているため、事前に確認してください。
企業名 | 新日本住設株式会社 |
本社 | 兵庫県神戸市中央区栄町通5-2-19 |
取り扱いメーカー | シャープ、パナソニックなど |
対応エリア | 全国 |
公式サイト | https://www.shinnihonjusetsu.co.jp/ |
株式会社フォレストホームサービス
太陽光パネル総設置件数1.6万棟の実績を持つのが株式会社フォレストホームサービスです。
同社が提供するのは、太陽光発電と蓄電池、そしてこの2つを制御するハイブリッドパワーコンディショナから構成される「スマートPV」です。
「スマートPV」は電気を作り、貯めて、賢く使えるよう、余剰電力を売電する「経済モード」、突然の停電に備える「安心モード」、余剰電力を貯めて自給自足を目指す「グリーンモード」の3つから選ぶことができます。同社の試算によると自家発電によって年間10万円以上、電気代が節約できる場合もあります。
また取り扱いメーカー全ての施工免許を取得しており、パネルの設置費用や発電量、経済効果などを踏まえた上で、最適なメーカーを提案してくれます。10年間のメンテナンス保証や万が一の雨漏りに備えて雨漏り保証も提供しており、アフターサポートも充実しています。
企業名 | 株式会社フォレストホームサービス |
本社 | 京都府京都市南区上鳥羽石橋町242番地 |
取り扱いメーカー | パナソニック、シャープ、ネクストエナジー・アンド・リソース、長州産業、カナディアン・ソーラー、 ロンジなど |
対応エリア | 北海道・沖縄を除いた全国 |
公式サイト | https://www.forest-hs.com/ |
株式会社ほっとエコライフ
出典:株式会社ほっとエコライフ
株式会社ほっとエコライフは、太陽光発電の販売・施工の他、作った電気を貯めて、家庭で使うスマートハウスやZEH(ゼッチ)事業などを展開しています。
同社は施工品質の向上を目指し、メーカー主催の研修会に加えて独自の施工研修会を実施し、人材育成を図っています。
アフターサービスも充実しており、契約者に対して10年間無償で点検を行う「メンテナンスフリーパスポート」を発行しています。その内容は2年に一度、太陽光パネルなどの機器の定期点検を実施するものです。
点検項目には発電量に異常がないかチェックする発電電力点検、パネルやパワーコンディショナなどの機器点検の他、電気測定点検などがあります。さらにパネル表面に汚れが付着すると発電量の低下につながるため、定期点検時にパネル表面の清掃も行っています。
企業名 | 株式会社ほっとエコライフ |
本社 | 大阪府吹田市江坂町1-23-43 ファサード江坂ビル405 |
取り扱いメーカー | カナディアン・ソーラー、長州産業、シャープ、京セラ、Qセルズなど |
対応エリア | 九州、中国、近畿、中部、関東エリア |
公式サイト | https://hot-ecolife.jp/top/ |
太陽光発電を導入するときは設置業者選びが重要
太陽光発電を導入する際は、設置業者選びが非常に重要となります。
導入目的は環境貢献なのか経済メリットなのか、また積雪地域なのか沿岸部なのか、設置環境も違えば、屋根の広さ、形状、方位、傾きなど屋根条件も違います。
設置条件や予算、デザインの好みなどを踏まえた上で、どのメーカーの太陽光パネルが最適なのか、パネルの大きさ、重さ、色・デザイン、発電効率などを検討して、最適なシステムを提案してくれるのが販売施工業者です。
設置業者を選ぶ際の主なポイントは、以下の通りです。
失敗しないためにも、上記のポイントを踏まえた上で、複数の設置業者に見積もりを依頼することが大切です。
最適な業者を見付けたいなら太陽光発電一括見積もりサイトがおすすめ!
太陽光発電の導入で失敗しないためには、複数の設置業者に見積もりを依頼することが重要です。
しかし、全国に2,300社以上あるとされる設置業者の中から、信頼できる事業者を見付け出すには相当な時間と労力をかけねばならず、実践することが難しい人もいるでしょう。そこでおすすめしたいのが無料で利用できる「太陽光発電の一括見積もりサイト」です。
一括見積もりサイトとは、必要な情報を入力・登録するだけで、複数の設置業者に一括で見積もりを依頼できるシステムです。一括見積もりサイトのメリットとともに、代表的なサイトをご紹介します。
一括見積もりサイトがおすすめな理由
一括見積もりサイトを利用する最大のメリットは、必要な情報を入力・登録するだけで複数の業者へ一括で見積もり依頼ができる点です。
1社1社、自分で問い合わせていては膨大な時間と労力がかかります。しかし、一括見積もりサイトを利用すれば、専用フォームに入力するだけで複数の業者に見積もりを依頼できます。サイトによっては専用フォームへの入力が1分程度で完了するため、手間なく簡単に最適な業者を探すことができるでしょう。
また最新の相場観を把握できる点もメリットの1つです。同じメーカーの太陽光発電システムでも、扱う設置業者によって価格やサービス内容が異なることがあります。また他社より極端に安い見積もりには、思わぬ落とし穴があるかもしれません。
しかし、一括見積もりサイトを利用すれば、相場観を把握できるだけでなく、保証やアフターサービスなども比較検討できるため、最適な業者選びに役立ちます。
おすすめの一括見積もりサイト3選
一括見積もりサイトは複数あり、多くのサイトを利用すると最適な事業者に出会える確率が上がる一方、情報量が増えすぎて逆に混乱を招く事態になりかねません。
そこで代表的な一括見積もりサイト3選をご紹介します。
ソーラーパートナーズ
2015〜2018年までの4年連続で依頼実績No.1※を誇るのが、10万人以上のユーザーが利用しているといわれる「ソーラーパートナーズ」です。
※出典:リフォーム産業新聞「太陽光発電見積もりサイト部門 依頼件数ランキング」
ソーラーパートナーズの特徴は7つの独自審査基準を設定し、紹介する業者を厳選している点です。
- 販売から施工、アフターフォローまで自社で一貫して施工
- 複数メーカー(3社以上)から提案できる
- 施工実績が100棟以上
- メーカー保証・工事保証に対応
- 建築関連法規、消費者契約などの処罰実績がない
- 現場経験5年以上の現場監督が在籍している
- 第2種電気工事士以上の資格保持者が在籍している
製品に対する知識や施工技術を持った業者しか加盟できない仕組みを整えたことで、「安くて工事品質が高く、お客さまに寄り添った提案をしてくれる」業者が見つかりやすくなっています。
運営会社 | ソーラーパートナーズ |
最大同時見積もり数 | 3社 |
加盟業者数 | 600社 |
対応エリア | 全国 |
グリエネ
累計利用者数10万人超、全国450社以上の加盟業者の中から一括見積もりができるのが「グリエネ」です。
グリエネの特徴は、見積もり依頼をするとカスタマーサポートがユーザーの状況や要望を伺った上で、紹介する設置業者を選別してくれる点にあります。ユーザーは要望や条件を伝えることで、最適な製品と優良な設置業者を選ぶことができます。
またグリエネでは独自の審査基準を設けており、優良企業のみが加盟できる仕組みです。その審査基準とは以下の通りです。
グリエネの運営会社は東京証券取引所・プライム市場に上場する「じげん」であることから、利用者からは企業信用度なども評価されています。
運営会社 | じげん |
最大同時見積もり数 | 5社 |
加盟業者数 | 450社 |
対応エリア | 全国 |
公式サイト | https://griene.jp/regist_solar |
タイナビ
累計13万人の利用実績、顧客満足度98%を誇っているのが「タイナビ」です。
タイナビの特徴は設置費用の安さです。他社の見積もりサイトは成果報酬を支払うため、価格が高くなる傾向にありますが、タイナビでは成果報酬がないため、他社の見積もりサイトと比べて最大50%安い価格を提示できます。
安く太陽光発電を設置できる理由は以下の通りです。
- 最大5社の相見積もりによる徹底した価格競争
- メーカーからの販売施工店の信頼が高いため、仕入れ値自体が安い
- ネット集客により広告費用を低く抑えられる
こうした施策とともに成果報酬をなくしたことで、他の見積もりサイトよりも安い価格が提供できるとしています。
運営会社 | グッドフェローズ |
最大同時見積もり数 | 5社 |
加盟業者数 | ー |
対応エリア | 全国 |
公式サイト | https://www.tainavi-battery.com/lp/lp03/ |
太陽光発電パネル設置前に把握しておきたい4つのこと
太陽光発電を設置する前にぜひとも押さえておきたい4つのポイントを解説します。
そのポイントとは「太陽光発電の導入にかかる費用」「太陽光発電設置時に利用できる補助金」「発電した電力の売買について」「エネルギー政策の最新動向」です。
太陽光発電の導入にかかる費用
住宅用太陽光発電のシステム費用は、2023年の平均値で1kWあたり28.8万円※です。
※出典:経済産業省資源エネルギー庁「調達価格等算定委員会事務局資料」
設置容量は全国平均が5kWであるため、単純換算すると平均費用は28.8万円×5kW=144万円となります。しかし、屋根の面積や形状、方位、傾斜などによって設置できる太陽光パネルの枚数は変わります。
また毎月どのくらい電気料金を支払っているかによって、電気料金の削減幅も変わってきます。そこで太陽光発電の設置費用を知る上でも、まずは「自宅の屋根について知る」、そして「今、どのくらい電気を使っているのか」を調べてみましょう。
その上で、太陽光パネルメーカーのホームページに掲載されている発電量シミュレーション診断を利用すると、電気料金の削減幅などの経済メリットを把握することができます。
この他、運転開始後には定期点検代やパワーコンディショナの交換費用などがかかり、経済産業省の試算によると、その費用は1kWあたり年間5,800円です。
太陽光発電設置に利用できる補助金
太陽光発電の設置には、さまざまな補助金が用意されています。
地方自治体による補助制度
東京都や神奈川県、千葉県、埼玉県などの主要自治体では太陽光発電の導入に際して、さまざまな補助金を提供しています。都道府県だけでなく、市町村でも実施しているため、お住まいの自治体に利用できる補助制度があるか確認しましょう。
ただし受付期間や要件などは自治体ごとで変わるため、詳細はお問い合わせください。
住宅金融支援機構の融資
新築時に太陽光発電を設置する場合、割増融資を受けられる場合があります。詳細は関係機関にお問い合わせください。
発電した電力の売買について
太陽光発電でつくった電力は、まず家庭内で使い、余った電力は10年間、一定の価格で大手電力会社に売ることができます。
国は住宅用太陽光発電の普及拡大に向け、余剰電力を大手電力会社が買い取ることを義務付けた「固定電力買取制度」を2012年から始めています。
買い取りを義務化した一方で、買取価格は太陽光パネルのコスト低減などを反映し、毎年、見直されています。制度開始当初の2012年、1kWhあたり42円だった買取価格は、2024年度には16円まで引き下げられています。
一方、火力発電の燃料であるLNG(液化天然ガス)などのエネルギー価格の高騰を受け、電気料金が上昇しています。2022年度の家庭向け電気料金の値上げ幅は前年度比約20%※1でした。上昇する電気料金に対して、余剰電力の売電収入や電気料金の削減など、住宅用太陽光発電の経済メリットが高まり、2022年度の導入件数は約19万件※2にのぼりました。
※1 出典:経済産業省資源エネルギー庁「調達価格等算定委員会事務局資料」
※2 出典:一般社団法人太陽光発電協会資料
エネルギー政策の最新動向
国は2030年までに新築住宅の6割に太陽光発電を設置するという目標を掲げています。地球温暖化防止に向けた取り組みは都道府県にも拡大しています。
東京都はエネルギーの大消費地としての責務から、2030年までに都内の温室効果ガスを50%削減する「カーボンハーフ」という目標を掲げ、再生可能エネルギーの利用拡大を推進。目標実現に向け、都内に建てる新築住宅に対して、太陽光発電の設置を義務付ける制度を創設しました。
東京都による「太陽光発電設置義務化制度」は2025年4月から開始される予定で、対象は大手ハウスメーカーなどが提供する新築住宅などとなっています。既存の住宅は対象外です。
設置義務化に合わせて、東京都では支援制度の拡充を図っており、4kWの太陽光パネルを設置した場合、電気代や売電収入により、初期費用を6年程度で回収できるよう、最大40万円を補助する助成制度を用意しています。
新築住宅への設置義務化は神奈川県でも導入議論を始めており、今後広がる可能性があります。
太陽光発電の導入に失敗しないための3つのポイント
気象条件や屋根などの設置環境は住宅によって異なるため、太陽光発電の設置は基本的にオーダーメイドです。太陽光発電の導入に失敗しないためには、設置環境や経済メリットなどさまざまな条件に合う、メーカーや設置業者選びが欠かせません。
太陽光発電の導入で失敗しないための3つのポイントを解説します。
家の向きや日当たりを確認する
家の向きや屋根の面積、形状、傾斜などは発電量に影響します。さらに住宅周辺に太陽の光を遮る建築物や樹木があると、パネルに影ができて発電量が低下します。
また、自宅の屋根が切妻なのか、寄棟なのか、屋根形状を調べる必要があります。自宅の設計図面などがあれば、事前に屋根形状を把握しておきましょう。
太陽の光を受けて発電する太陽光発電は日射量がポイントになります。お住まいの地域の日射量がどのくらいあるのか、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などが日射量データベースを無償提供していますので、事前に把握することをおすすめします。
採算がとれるか確認する
日射量の予測や家の向き、屋根形状などをもとに設置業者に見積もりを依頼し、必要な費用と売電収入、電気代の節約額などから、太陽光発電の経済性をシミュレーションする必要があります。
採算がとれるか評価するためには、初期費用だけでなく、下記の項目から総合的に判断しましょう。
また同じメーカーのシステムでも、設置業者によって価格やサービス内容が異なる場合もあります。そのため複数の業者から見積もりをとり、採算性を評価することをおすすめします。
太陽光発電業者の口コミや実績を確認する
設置業者の中には、「今日だけの特別価格!今、契約しないと損しますよ!」「売電で毎月数万円が確実に入ります!」などと、言葉巧みに勧誘をしてくる業者がいます。思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、しつこいセールスや強引な勧誘は拒否することが大切です。
また住宅用太陽光発電の普及と相まって、「太陽光パネルからの反射光がまぶしい」というクレームが近隣住民から寄せられるトラブルが散見されています。積雪地域では、太陽光パネルの上に積もった雪が滑り落ち、周囲の器物や人に損害を与える可能性もあるでしょう。
「あの時、きちんと確認しておけばよかった」と後悔しないためにも、設置業者の実績や口コミを事前に確認することをおすすめします。
太陽光発電のパネルを設置するまでの流れ
太陽光発電を設置するまでの流れは、大きく分けて以下の3つです。
- 複数の設置業者に見積もりをとり、比較検討した上で契約を結ぶ
- 余剰電力を電力会社へ売り、夜間など太陽光発電が発電しない時間帯の電力を電力会社から購入できるよう、電力会社や経済産業省との各種手続きを行う
- 設置工事を行い、太陽光発電を開始する
STEP1:設置業者で見積もりを取る
最適な太陽光発電を選ぶポイントは下記の通りです。
設置者の目的や条件に加えて、下記のようなメーカーや設置業者の特徴を考慮する必要があります。
さらに一般的な家電製品とは違い、工事を伴うことから現地調査も重要です。
目的や条件を踏まえた上で、適切な現地調査を実施してくれる業者を探すためにも、複数社から見積もりをとることをおすすめします。
また自治体の補助金が受けられる場合は、忘れずに業者に相談しましょう。契約・着工後は補助金申請が不可となる自治体があるためです。
STEP2:各種手続きを行う
太陽光発電で発電し、余剰電力を電力会社に買い取ってもらうためには、電力会社および経済産業省への申請手続きが必要です。
「固定価格買取制度」を利用して余剰電力を売るためには、安定した稼働と、法令や安全性を遵守できる事業計画であることを国に認定してもらう必要があります。この手続きは「事業計画認定申請」と呼ばれ、申請先は経済産業省です。手続きは設置業者などの代理人でも可能であり、オンラインからの電子申請ができます。
なお、申請から認定まで3カ月程度かかるとされています。
この「事業計画認定」を取得するためには、電力会社との間で「電力需給契約」を締結した際に発行される「接続の同意を証する書類」の添付が必要です。
「電力需給契約」とは、余剰電力を電力会社へ売り、夜間など太陽光発電が発電しない時間帯の電力を電力会社から購入するための契約で、その手続きは「系統連系申請」とも呼ばれています。こちらも代理申請が可能です。
連系申請から契約締結までには、一般的に1カ月程度かかるとされています。また実際に売電できるよう、電力会社による連系工事も必要です。連系工事は30分程度で終わるとされています。
STEP3:太陽光発電スタート
太陽光発電を設置するための工事は大きく分けて、「太陽光パネルなどの機器を取り付ける機器設置工事」と「機器の電気配線を行う電気配線工事」の2つがあります。
竣工検査が行われ、問題がなければ引き渡しがされます。その後、電力会社による系統連系工事が行われ、施工業者立ち会いのもと太陽光発電が正常に運転しているか確認。
正常稼働が確認できたら、いよいよ発電がスタートします。
まとめ
失敗しない太陽光発電選びとは、設置環境や予算などをもとに最適なシステムを提案し、適切な現地調査などを実施する設置業者に任せることだといえます。
しかし、全国に2,300社以上あるとされる設置業者の中から、最適な業者を選ぶことは非常に大変です。そんな時は一括見積もりサイトの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
また発電がスタートした後は、正常に動いているか定期的に確認することも重要です。「発電量が低下した」などのトラブルの兆候を見逃さないためにも、毎月の発電量をモニターで確認することをおすすめします。
万が一、トラブルにあったら「消費者ホットライン」や「住宅リフォーム・苦情処理支援センター」などの専門の相談窓口に相談しましょう。